ナラタージュ

先日、発作的に甘々の少女マンガか恋愛小説が読みたい感じ*1がしたんだが、実は1冊も持っていないので困った。
ちょっと本棚を除いても、やっぱりない。かろうじて近そうなのは、恋愛めいたエピソードもあるミステリー、歴史物、SFなどか。他には、うっかりジャケ買いしてしまった本の群れの中の、恋愛というより愛憎劇みたいな波乱万丈ものとか、恋愛や性癖を通して人間のどろっとしたところやどうしようもないとこを抽出したものとかならあるんだけど(笑)。
エンタテイメント系+所々若気の至りの難解物+教養コンプレックスが買わせた文学系=私の本棚
この本棚に恋愛小説とか望んでも無理か。少女マンガといっても、主力は川原泉遠藤淑子桑田乃梨子わかつきめぐみ大島弓子佐々木倫子だ。うーん…、おとめちっく男子としても問題があるかも。
で、よそ様の力を借りることにして、『恋愛小説 傑作』で検索!で、たどりついたのが
『この恋愛小説がすごい!2006年版』第1位『ナラタージュ』島本 理生
早速、アマゾンマーケットプレイスで注文をする。が、三日後、手元に本が届いた頃には、きれいに去ってしまっていた私の恋愛小説渇望の波。残念。
淡々とした描写でさくさく読める。分量が分量だから多少時間はかかったけど。若いのにたいしたもんだなあ、島本理生。憑依するほどの感情移入はなかったけど、付き合っている彼氏に感じる泉の感情や思考は、人にはあまり言わないが確かにだれでも思い当たるんではないだろうか。この感情はは自己嫌悪とセットになることが多い気がするんだけど。彼氏ならではのやな感じとか、その気がなくても受け入れる「もういいや」って感じとか。彼氏がいることで起こる不幸。こういうのが活字になっているのってうれしい。男も女も読んだらいいと思う。あと、葉山を探してくたくたになるくだり、これは何か身に覚えがある(笑)。
個人的には好きになれる登場人物はいなかった。感情移入出来なかったせいもあると思うけど、結構しんどい経験もしてるんだけど、頭の中で動いている登場人物の表情も淡々とした印象だった。残念なことは、設定が私に向かなかったんだよね。私は高校演劇部⇒学生劇団(関西系)だったので、演劇絡みでまずつまづいてしまった。ちょっとない。在京劇団にはある感じのノリなのか?あれで冷めなきゃ、もうちょっと浸れたかな。「淡々」とか「感情移入できない」とか書いているけど、単に好みの問題で、『ナラタージュ』はいい小説だったよ。夜中の2時過ぎまで一気読みしたのは久しぶりだし、終盤にはちょっと涙したし。
恋愛小説をよく知らなかったわたしの失敗。恋愛小説って、悲恋ありなんだー(バカ)。勧善懲悪*2みたいに主人公は幸せになると思ってたよ。甘々所望だったのでその趣旨からはハズレ。でも、島本理生、読んだことなかったから読めたってことでいーかと思う。自分で本を選ぶと片寄るからね。
さー、次こそ、体が痒くなるくらい甘々な本を探すぞー。…どうやって?

ナラタージュ

ナラタージュ

この恋愛小説がすごい!2006年版

この恋愛小説がすごい!2006年版

*1:甘党ではないのに、ケーキやチョコレートが無性に食べたくなってしまうときの衝動に似ている。毎日甘いおやつだといやになるくせして。

*2:主人公が幸せになることを善とする