あ・うん

向田邦子『あ・うん』読了
すごいことが書いてあるわけではないのに飽きない。
特別な人が出てくるわけではないのに愛しい。
ことさらな心情描写も人物描写もないのに、みずみずしい男と女。
本なのに寡黙な印象。
読みながら、ビジュアルイメージががんがん浮かぶ。
向田邦子のドラマは大人の見るものでほとんど見たことはないはずなのに、生身の人間の背中が浮かんでくる。
なんの脈絡もなくわかつきめぐみの絵が浮かんできたりする。
読み減りしない一冊に出会えた。
この人死んじゃったんですよね。かなしいなあ。
著者唯一の長編小説というところも泣ける。
今日の帰りは図書館直行

新装版 あ・うん (文春文庫)

新装版 あ・うん (文春文庫)