母親のツッコミ

タカアンドトシの動画ばっかり見ていたら、誰かに「欧米か!?」と突っ込みたくてしょうがない状態になってしまっているわたし。
話は飛ぶが、ツッコミといえば、わたしの母親のツッコミは、少々変わっている。落語ツッコミだ。
酔っ払って寝ちゃった父が目覚めたとき、お灸をすえるためにちょっと嘘をついた私に、
  「芝浜か」
迷子犬の捜索が防災無線で流れたとき、うちの犬に向かって
  「シロ、あれはおまえじゃないのかい」「そういえばそんな心持がしてきた。」
って粗忽長屋か!あ、私がツッコんだからこれはボケか。
そんな母親ですが、寄席に行くほどディープなファンでもないし、CD持っているわけでもない。そんな人が自然に落語ツッコミするところがなんか楽しい。
わたしの母方の祖母は、ラジオで落語を聞くのが大好きだったそうだ。母は、そんな祖母の傍らで「門前の小僧習わぬ経を読む」が如く、落語を摂取していたという。当時はどこの家でもラジオで落語だけでなく講談、浪曲を聞いていたんだろう。
わたしが落語に少し*1興味を持ち始めたのが20代後半*2。やはりラジオがきっかけだった。当時、つきあっていた子*3は門限に律儀で、10時には家に帰るのが平日デートの決まりごとだった。その子と別れて帰るとき、AMラジオ派のわたし(おっさんか!?)の車の中から聞こえてくるのが
「残しておきたい江戸情緒、下座のお囃子、寄席幟。NHK『ラジオ名人寄席』席亭の玉置宏でございます。(うろ覚え)」
でおなじみの『ラジオ名人寄席』。この番組は、当時平日の9時半頃にやっていた*4。野球中継が苦手なわたしはこの番組を聴くことが多かった。聴いてみたら、結構面白かったのだ、落語。
それからその時間帯に車に乗っているときはよく聞くようになったのだが、ちょっと困ることが出てきた。短い噺は一回の放送で終わるのだが、大ネタになると数回に分けて放送される。しかし、デートは毎日ではないし、家にいるときはテレビを見ていたり、電話をしていたりとラジオを聴くのを忘れてしまう。すると、面白い噺だなと思っていても、落ちのわからない話が出てきてしまうのだ。
どうすれば落ちがわかるのかなと考えていたら、うちの父親を思い出した。9時頃床に入るわたしの父は、眠るまでほぼ毎日ラジオを聴いている。そういえば、『ラジオ名人寄席』もかかっていた。それならきっとわかるだろうと父親に「落語の落ちを知りたいんだけど。」とたずねたら、「お母さんに聞け」と言われた。父はラジオはかけていても、半睡眠状態でおぼえていないのだそうだ。そこで、母親に「これこれこんな話で、こんな人が出てきて」と説明すると、「それは○○という噺だよ」と答えが返ってきた。びっくり。お見事
落語を聞いていくうちに、母親のしゃべりの中の面白い特徴が発見できた。それが落語ツッコミだった。
気がつくとちょいちょいしてるのよ落語ツッコミ。
思い返してみると、子供の頃はきっちょむさんだか彦一さん話にあるような、「平林」とか「饅頭怖い」を母親が使っていた記憶はある。わたしが気がつかなかっただけで結構落語ネタ日常会話に混ぜていたのか。
それとも、私が落語を聴くようになったので、ウケるから遠慮なく使うようになったのか。…こっちかも知れんな。

*1:落語好きは奥が深いので、うっかり好きとは言えない位の薄いファンです

*2:せめて学生時代に目覚めていたらな。同級生や専攻の後輩に枝雀好きがいて、いく題か話せる子達がいたのだ。もったいなかったな。当時目覚めていれば、上方落語に詳しくなれたかも。

*3:その子は後に寝しなに落語を聴くことに目覚め、わたしにたくさん落語のテープを貸してくれた。同じ時期に別々に落語に目覚めたのは面白かった。お互い落語好きとわかって後は、一緒に寄席に行ったりした。

*4:現在ラジオ名人寄席は、NHKラジオ第1放送で毎週日曜日16:05-16:53に放送されている