ぐろ話

カラスは、とても賢い鳥だが、カラスを気持ち悪がる人は多いと思う。
わたしは普段、カラスと接触することは、ほぼなく、「かー、かー」という鳴き声を聞くくらいだ。以前は、ごくたまに、ゴミの集積所を物色&散らかしに来たカラスに会うことがあった。黒くて、予想以上にでかくて、ちょっとそばに行きたくない感じだったが、防護ネットをかけてご近所の悩みは解決、カラスが来ることもなくなった。最近はもっぱら「かー、かー」を遠くに聞くのみだ。
ゴミを散らかしているイメージから、カラスが肉を食べるイメージはあまりないが、ちゃんとWikipedia雑食性でゴミや動物の死体をついばんでいるところがよく目撃されるに書いてある。今日初めて現場を見ちゃって、ちょっとカラスが怖くなっている。
朝、通勤時に、道の脇によけてある仔猫の亡骸があった。その脇に黒い鳥。ちらちらと見える赤いもの。うげ。まさか。
昼、件の道を通るとセンターライン付近に黒い鳥。今朝よりも赤く薄っぺらくなったものの傍に二羽の羽ばたき。亡骸をどこかに運んで食べようとしたのに崩れたのか。うげげ。
肉を食べる身で言う事じゃないが、ちょっとショッキングな光景だった。うちの犬だって、通りかかかれば間違いなくあれを咬む。食べる。でも
カラスに持っていたユーモラスなイメージが覆されてしまった。単純やな。

以前、雪の日、小鳥のえさにと、庭にりんごの皮を撒いておいた。すると、雪で覆われてしまい餌がうまく探せなかったのか椋鳥が群れでやってきてりんごの皮をつついた。何十羽が庭を埋め尽くし、その数にはりんごの皮はとても足りなかった。当然一片を複数の椋鳥がついばむ。いや、ついばむなんて生易しいものじゃない。辺り一面真っ白な雪景色のスクリーンの上で、不規則に空中で撥ねるりんごの皮は、なんかの映画で見た、機銃掃射を受けて奇妙な舞を舞うように撥ねる死体のようで、めちゃめちゃこわかった。頭の中に「鳥葬」の文字が思わず浮かんだ。別に私が襲われているわけでもないのに。
ヒッチコックの『鳥』は怖くて見ていない。
今日のカラスは、そのときに次ぐ恐ろしさだった。